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宮大工の技術を伝える、世界最古の木造建築物・法隆寺(奈良県)

 建築されたのは、今からさかのぼること、約1400年前の法隆寺。五重塔の見事なバランス、金堂の簡素でありながら荘厳な姿、夢殿の美しさ、など宮大工ツーリズムを考えていく上ではずせない建物だ。重い瓦屋根を支える梁と柱の接合部を強化するための構造物で、柱上の雲斗・雲肘木などの組み物、卍崩しの勾欄、勾欄を支える人字形割束、エンタシスの円柱など、多くの見どころがある。

 法隆寺の昭和の大改修を指揮した宮大工の西岡常一氏によると、法隆寺金堂はすべて割り材がつかわれていたが、一つとして同じ寸法がないなかで見事に組み上げられていたという。

 法隆寺を創建したと言われているのが、多くの日本人なら誰もが顔を浮かべることができるであろう聖徳太子だ。聖徳太子は、仏教中心の国造りを進めるために、日本で仏教を広めた人物としても名高い。つい50年ほど前に流通していた千円札の顔でもあった。絵にもよるが、聖徳太子が両手で大切に抱えているのは、『さしがね』という宮大工道具の一つ。というのも、聖徳太子は、仏教を普及させるため、寺や仏像を造るための木造建築技術を日本にもたらした人物でもあるからだ。聖徳太子は、大工を集めて、規矩術と言われる、さしがねなどを使ってあらゆる角度を正確に出す木造建築の基礎や技術を教えた宮大工の師、大工の神様と呼ばれる。

 なお、日本では仏教よりも長い歴史を持つ神道。自然信仰をするアニミズムや伝統的な民族信仰、祖霊信仰を基盤に派生したと考えられるが、本来、神々は山、岩、川など森羅万象に宿ると伝えられており、一般には、仏教伝来以降に、神社のような祭祀施設が建立されるようになったと言われている。

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