ちょうな(手斧)も日本独特の伝統工具であると言えるでしょう。のみは、比較的精密な加工に用いるのに対し、ちょうなは木材を粗削りするために使われます。
柄と刃先が別々に売られており、柄の部分は大工自身が作ることが多い。その長さは、自分の腕の長さが基準になっており。槐エンジュの木は適度の柔らかさがあって、柄のあたりが良く、曲げやすいとされる。
機械では出せない風合いを作り出してくれるちょうなは、製材機が台頭してその影を潜めてはいますが、いまだに宮大工は愛用する工具です。木材に勢いよく振り下げて、刃先で削り出す、ダイナミックなちょうなの使用シーンは迫力抜群です。
「どんな安普請でも73点の道具を備えなければならなかった」と言われているほど、多くの道具を宮大工たちは作り、狂いがないよう手入れをし、手になじむまで何度も何度も使用しました。宮大工にとっては道具は武器であり、相棒です。壊れにくく美しい日本建築を今日も観賞できるのは、これらの道具や、それを扱う宮大工たちのたぐいまれなテクニックによるところが大きいでしょう。