宮大工の道具

宮大工の道具(ノミ)

大工にとって道具は「手の延長」と言われるほど、重要なものだ。それゆえ、大工は消耗品でもある道具をひとつひとつ大切に手入れして扱ってきた。木を相手に「会話」を続ける宮大工も、もちろん道具にはとりわけこだわりと愛着を持っており、木の加工に使用する道具も全て職人自身が作成しているケースが多い。宮大工の仕事は道具の手入れにはじまり、道具の手入れに終わると言っても過言ではない。

ノミ

例えば、ノミ。これは、木造建築物を加工するうえで切っても切り離せない「木組み」に、大変重要な役割を果たしている。日本の建築物は、「木組み」と呼ばれる工法で建てられてきた。木と木を同じ方向に繋げる「継手(つぎて)」、交わるように繋げる「組手(くみて)」、柱や梁、土台のL字部など方向の異なる部材を接合する「仕口(しぐち)」など、その種類は実に100 種類以上もあると言われている。このパズルのような独特な形を生み出す道具こそが、「ノミ」だ。持ち手を叩いて溝を作ったり、彫刻を掘ったりするのに使用する。叩きノミや突きノミだけで、それぞれ異なる刃の形状があり、すべて使いこなすには10年以上の歳月を軽く要すると言われている。

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