どうして、今、宮大工ツーリズムなのか?

世界最古の木造建造物、『法隆寺』。その歴史のはじまりは、今から、約1400年前までさかのぼる。それ以外にも、世界最古の木造建造物の多くは、日本の寺社仏閣施設 ―― 

なぜ、だろうか。

地震、火災、水害など自然の脅威と常に隣り合わせの、日本で、なぜ、ここまで多くの古い木造建造物が残っているのか。これらの自然災害を経験しながらもなお、建てた当時のままの建造物の原型をとどめておけるのはどうしてなのか。

神社の聖域を分ける目的で立てられている、鳥居。どうして、鳥居をはじめとする、神社仏閣の建造物は木造なのだろうか。

栃木県日光にある、世界遺産、『東照宮』の陽明門。日が暮れるのも忘れて見とれてしまうことから、日暮の門とも呼ばれるこの門には、故事逸話や子供の遊び、聖人賢人など500以上の彫刻が施されている。東照宮に限らず、日本にある神社仏閣の様々なところで、これらの木彫り彫刻を目にすることができる。どうして、このように複雑な木彫り彫刻ができたのだろうか。

これらの謎の背景には、ユネスコ無形文化遺産『伝統建築工匠の技』として登録された、宮大工の技術がある。じつはこの宮大工、世界最古の本格的な事業ともいえるのだ。さらに世界で二番目に古い事業、これが温泉旅館なのである。

SDGsという言葉やカーボンニュートラルという言葉は現代のキーワードだが、はるか1400年前から宮大工はごくごく普通にその意識を持ち合わせていた。

今の時代にこそ、世界で最も古い事業と2番目に古い事業、つまり「宮大工」+「温泉旅館」の掛け算した、真の意味でサステナブルといえるツーリズム、宮大工ツーリズムが悠久の時を経て輝きを放つ、というわけだ。

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